技能実習制度を廃止、新制度へ移行か

外国人材雇用
技能実習制度廃止

4月10日に表題のようなニュースが入ってきました。政府の有識者会議は、外国人が働きながら技術を学ぶ技能実習制度を廃止し、人材確保などを目的に中長期的な滞在を可能にする新たな制度への移行を求めるたたき台を示しました。有識者会議は秋ごろをめどに、最終報告書を提出する予定のようです。

ここまでの情報をまとめてみました!

技能実習制度とは

技能実習制度とは、日本の技能、技術又は知識を開発途上地域等へ移転することによって、移転先の地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として1993年にに始まった制度です。

在留資格は専用の「技能実習」で、建設業や食品製造業など86職種で、最長で5年間、日本に滞在し、働きながら技能を学ぶことができます。

出入国在留管理丁が発表した「令和4(2022)年末における在留外国人数」によると「永住者」に次ぐ2位と、とても利用の多い在留資格となっています。

在留資格人数増減人数
永住者863,936+32,779
技能実習324,940+48,817
技術・人文知識・国際業務311,961+37,221
留学300,638+92,808
特別永住者288,980- 7,436
出所)出入国在留管理庁

これだけ利用が多い在留資格なのに、なぜ、廃止・新制度への移行が検討されるのか。

それは、技能実習の目的は、冒頭でも記載したように「日本の技能、技術又は知識を開発途上地域等へ移転することによって、移転先の地域等の経済発展を担う「人づくり」」ですが、実態は、企業の人手不足を安く補い、目的と実態に大きな乖離があることが指摘されていることだと考えられます。

技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(日本政府)では、以下のような意見が出ています。

「人材難の企業にニーズが高い」
「目的と実態のかい離は明らかで、人権侵害につながる構造的な要因だ」
「外国人労働力を安く使うという考えでは人材獲得の国際競争に勝てない」
「労働力として正面から認め、長く日本で生活者として暮らせる仕組みを考えるべきだ」
「実態に合わせて廃止した上で、国内産業の人材確保の制度として再出発することが必要だ」

技能実習制度及び特定技能制度の現状について報告された資料の中のアンケートからも目的から乖離していることは容易に想像できます。

技能実習を受け入れる企業の目的のトップは、「日本人の雇用が困難なため(77.8%)」です。

技能実習生が技能実習に参加する目的のトップは、「お金を稼ぎたいから(73.7%)」です。

技能実習生の賃金を見ると、最低賃金にごく近い、安い賃金で雇用していることもうかがえます。

さらに、有識者会議では意見は出ていないようですが、技能実習が終了し、母国に戻っても、その技術を活用する仕事がそもそもなかったり、日本でもらっていた給与と母国の賃金に大きく差がありその仕事に就くことが現実的でなかったり、技能実習の送り出し国から見ても課題が多い制度だと、私は海外滞在時から思っていました。

技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議

制度の概要だけでなく、利用者のアンケート結果などもあり、興味深い内容になっています。

リンク:技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議

技能実習制度の今後

技能実習制度を利用している企業は、制度変更のニュースから目が離せませんね。

技能実習制度は廃止し新制度が検討されているようですが、個人的には、人材不足を解消する目的で創設された「特定技能」制度を拡充し、そこに技能実習制度の良い点を吸収することで技能実習の問題は解決するような気がしています。似たような制度が乱立することも避けられますしね。

特定技能の窓口

今後も同制度の動きについては追っていきたいと思います!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

技能実習制度をよく比較される特定技能との違いについて書いた記事があるのでぜひご参考にされてみてください。

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