前回の記事で外国人材を雇用するメリットとデメリットについて書きました。今回はデメリットだと考えている外国人材だからこそ必要な雇用管理について解説します。デメリットが許せればメリットだけになりますからね。
それでははじめましょう。
外国人雇用のデメリット:日本人同様の雇用管理に加え外国人材ならではの雇用管理が必要
- 在留資格のこと【管轄】出入国在留管理庁
- ハローワークへ外国人雇用状況の届出【管轄】厚生動労省
- 入国管理局へ各種届出【管轄】出入国在留管理庁
- 退職時の年金脱退一時金の請求【管轄】日本年金機構
- 転居が伴う場合、住民票の変更、銀行への報告
大原則、外国籍の人材であっても日本国内で雇用している限り、雇用契約や給与支払、社会保険、納税等は日本人同様の雇用管理が必要です。その上で、上記で列挙したものが追加で必要になります。
またご覧いただいてお気づきになった方もいらっしゃるかもしれませんが、それぞれ管轄が異なるので煩わしさを感じる点もあります。
順番に見ていきましょう。
在留資格のこと【管轄】出入国在留管理庁
在留資格は
- 日本国籍を持たない外国籍の人が、日本に在留するために取得する資格
- 期限付き
- 滞在・在留目的によって在留資格の種類が異なる
- 在留資格の種類によって、就労が可能なものと可能でないないものがある
- 3ヶ月以上の中長期在留者は在留資格が取得できると在留カードが発行される
- 取得、変更、更新の手続きがある
在留資格は29種類あります。(2022年9月現在)
在留資格一覧表 (出所)出入国在留管理庁
以下のようにまとめました。
◉就労が認められる・・・日本に在留する目的が就労、どのような就労かで種類が決まる
◉身分・地位に基づく・・・日本に在留する目的が、身分や地位に基づくもの。このうち永住者と定住者の在留資格を持つ人は日本人と同様に就労することができる
◉就労の可否は指定される活動による・・・日本に在留する目的が、他の在留資格に当てはまらない場合、その活動内容に基づき許可されるもの。よって、その活動内容に基づき就労の可否が決まる
◉就労が認められていない・・・日本に在留する目的が、就労ではないもの。原則これらの在留資格では就労は認められていない。ただし、「資格外活動の許可」が得られればアルバイトをすることができる
在留資格の取得申請の申請者は外国籍の人材本人です。しかし、日本の法律に従い書類を準備し手続きをすることは容易ではないため、受入会社の支援が必要です。
行政書士へ依頼するか、自社でやる方法があります。私はどちらも経験しているので、取得の流れや必要な手続きについてはまた別の機会に解説します。
ハローワークへ外国人雇用状況の届出【管轄】厚生動労省
結構忘れがちなものです。外国籍の人材を雇用し始めたときと退職したときに必要な手続きです。雇用保険とセットでタスク管理すると漏れないかもしれないですね!
以下のように定められています。
平成19年10月1日から、すべての事業主の方には、外国人労働者(特別永住者及び在留資格「外交」・「公用」の者を除く)の雇入れまたは離職の際に、当該外国人労働者の氏名、在留資格、在留期間等について確認し、厚生労働大臣(ハローワーク)へ届け出ることが義務付けられました。(届出を怠ったり、虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金の対象となります。)
「外国人雇用状況の届出」は、全ての事業主の義務であり、外国人の雇入れの場合はもちろん、離職の際にも必要です! (出所)厚生労働省
私は社労士に入社退社の手続きを依頼しているため、こちらの届出の経験はありません。届出の方法が管轄所のホームページに記載されているので確認をしてみてください。
外国籍人材の個人情報と、上で解説した在留カード(在留資格を取得した3ヶ月以上の中長期在留者が持つもの)に記載されている情報があれば申請できるようです。
入国管理局へ各種届出【管轄】出入国在留管理庁
こちらは、在留資格の種類によって異なるものです。
例えば、「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)」は更新等の特定のタイミングを除き、届出は定められてません。一方、「特定技能」では、四半期ごとに受入企業による活動報告が義務付けられています。
対象人材の在留資格の種類が明確になったら、個別に確認しましょう。
退職時の年金脱退一時金の請求【管轄】日本年金機構
外国籍の人材は、個人的なことだけではなく、例えば日本企業の海外現地法人へ移籍などの事情で日本での就労を終了し出国する場合、それまで支払っていた月数に基づき年金の脱退一時金を請求することができます。
外国籍の人材にもあまり知られておらず、年金を払いたくないという方も一定数いる印象ですが、こちらの制度を紹介すると納得してもらえます。6ヶ月以上納付があれば対象となります。
また、外国語による年金制度説明がホームページに載っているので、外国籍の人材に説明する際に活用できます。
転居が伴う場合、住民票の変更、銀行への届出
転居が伴う場合、住民票の変更後+在留資格取得後に、銀行への届出を忘れないようにする必要があります。
銀行(およびゆうちょ)口座は、住民票と紐付いているようです。
住民票は在留資格と紐づいているので、届出を忘れると、最悪の場合は口座が凍結される可能性があるようです。
実際に、先日口座が凍結されたので、その時に記事もよろしければご覧ください。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
個人的には、在留資格は理解をする必要があり難しさがあるかもしれませんが、その他はタスクさえ明確にすれば大きな負担はないと思っています。またその在留資格も、行政書士という専門家にお任せすることもできるので多少負担を軽減することはできると思います。
ただ、受入企業としても正しい雇用管理をする上で、在留資格は知識としては知っておく必要があると思いますし、行政書士に依頼したとしても受入企業情報や証明書等は準備する必要があり、何もしなくていいということでもないため、多少の覚悟は必要です。
今回はここまでとなります!
※外国人材雇用のメリット・デメリットは以下の記事へ
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